虚無に墜ちた者
Artemis Soar-owl
「私には使命が、魂の浄化を果たさねければならない」
人の子の守り手の女神は嘆いた、己が守った人の子が戦を始め、その戦によって惨劇が起こる事を
幾度となく繰り返される裏切りと、惨殺と、絶叫と号泣に女神は疲弊した
燃やされて抜け出せぬ炎に苦しむ者、木に吊るされるか瓦礫の山に並べられ晒された首、家族を目の前で殺され自害する男、親を失った子が村に一人泣き叫ぶ
女神は考えた、惨劇の無い世界を、子の泣き叫ぶ声がない静かな世界を
同じことを繰り返して疲れ切った女神は、己が無力さから自身の理念や存在を否定した、守るべき人々と子を終わらぬ悲劇の誘因となる汚れ物として否定した
生者を拒み肉体を殺そうとも、魂が別の肉体に引き継がれる、その度に過ちが繰り返され憎悪が増す
人が同じ過ちを繰り返さぬよう、魂の浄化を祈り方法を探した
そして闇深き新月の日に粛然と殺戮を繰り返す
一つずつ丁寧に、ゆっくりと、生きたまま解剖し、魂に干渉する術を探し、遂に女神は知った
精神を殺せば魂もまた傷ついていくことを
自らが感じた苦しみを、裏切りを、惨殺を、絶叫を、壊れるまで与えて、与えて、与えて
幾億もの精神を殺し、その度に肉体が入れ替わろうとも、魂が永遠に忘れられぬように深く鋭く傷を付け続け、使い物にならなくなるまで殺し続けた
そうして、壊れた女神の浄化の祈りの果てに、それは果たされた
残ったのは静寂だ、横たえ息を辞めた肉体が、うつけに口を広げ荒漠に広がっていた
女神自身も